仙田典子(せんだ のりこ)
ニュージーランドで「チェルノブイリ疎開」をしているとき、ジョアンナ・メイシーの本に出会い、帰国後に翻訳・出版。東日本大震災後は、避難者が西日本でもっとも多い岡山で支援活動を続けながら、アクティブ・ホープの普及に努めている。
冷戦さなかのチェルノブイリ原発事故で、核まみれの世界に絶望し、当時先進国では唯一の非核国だったニュージーランドに「疎開」したわたしは、そこでジョアンナ・メイシーの『絶望のワーク』という本に出会いました。「世界に対する痛みや悲しみは、人としての健全な反応である」、「絶望を通して、わたしたちは真のつながりと愛に目ざめる」。これらの言葉に射抜かれ、促されて、わたしは、一度逃げ出した日本に帰ってきたのでした。
その後、3年がかりでこの本を訳すなかで、中野民夫さんの知遇を得て、ジョアンナ関連の本を次々に訳したり、彼女を日本に招いてワークショップをするといった流れに加わることになりました。この数年はまた、自らの病い(ガン)を通じて、死と生に向き合わされた時期でもありました。その歩みをともにしてくれる「地球の仲間」がいることは、この時代の恩寵であり、なによりの喜びだと感じています。
東日本大震災と福島原発事故の後、岡山で避難者の支援に忙殺されながら、「今こそジョアンナのワークが必要なときだ!」と思い続けてきました。さいわい何人ものジョアンナのお弟子さんが、日本で精力的にワークを行ない、その輪を広げてくれています。今回、ジョアンナの新著『アクティブ・ホープ』が出版の運びとなり、この流れがますます強く・速くなっているのを実感します。
震災以後のすべてのよき働きに感謝し、死と放射能の痛みを抱きしめ、新生された目でこの世界を見つめ、生きとし生けるものたちと前を向いて歩んでいく……。このアクティブ・ホープのプロセスを、「地球の仲間」といっしょに続けていけるよう、願ってやみません。